魚野真美 詩舎 夜の目撃者

詩と、その周辺について。

永遠のエース候補といわれてー卓球男子、松平健太におもうー

世界卓球男子団体戦を見ていた。(わたくし中学時代、元卓球部でした。思えば地区優勝も果たし、スポーツに燃えた三年間でした。その後高校では和太鼓部に入部。)

リオオリンピックにて、男子卓球のメダル獲得へと導き、キングオブジャパンと言われた水谷隼28歳。
全日本卓球選手権にて史上最年少優勝を成し遂げた張本智和16歳。そこにもうひとり、見慣れぬ美しい顔がひとり。

松平健太27歳。2006年に世界ジュニアシングルス王者になり、神童と謳われた。独特のしゃがみこみサービスは松平健太ただひとりしか打ち出せないと言われている。長年エース候補と言われ続けていたそのとき、『三角線維軟骨複合体損傷』という怪我で停滞する。
その後2009年、北京五輪優勝者馬琳との熱戦を繰り広げるなどレジェンドを創るひとりとして十分な力を持っている人物なのだが、何度も不振に見舞われる。
そうしてリオオリンピックで水谷隼とともに団体戦を組んだ吉村真晴や丹羽孝希などがぐんぐんと力を伸ばしてゆく、、。松平健太は何度も浮上と低迷を繰り返していたそうな。

そして今年の世界卓球。
わたしは初めて松平健太を見た。
なんというか、影があった。永遠のエース候補、天才卓球、神童など言われていたものの、なかなかその地位を立ち続けることができなかった悔しさの影を感じた。

アナウンサーが松平健太の戦う韓国戦の途中に「僕は僕を信じたい、と話した松平健太です。」というコメントがあった。

松平はこれまでに何度も立ち上がって、何度ももう駄目ってきっと何万回も思ったんだと思う。「でもまだ出来る、僕は僕を信じたい」自分のやってきたことを信じたいと、自分自身で思うことができるって凄いなーって思った。
誰かに信じてもらうんじゃなくて、自分が自分を信じること。すごく勇気のいる言葉だと思って、同年代の人達にパワーをもらった。
水谷隼も張本に負けてから肩の荷が下りたって話していたみたい。重圧がすごいんだろうな。水谷も松平も。そして張本も。

期待された人達、一度頂点に手をかけた人達。
その精神力と、スポーツマンシップに心打たれてやっぱりスポーツっていいなーと思った次第です。