魚野真美 詩舎 夜の目撃者

詩と、その周辺について。

あるひとつのほうほう

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このつめたいきもちから
距離を置くことができる
それはひとつのほうほう
あるひとつのほうほうで。

ずいぶん遠くまで来てる
そんなふうに思ったけど
凄く近いところにいた。
遠くにはいっていなかった。
楽しい気持ちのなかに
浸っていたかっただけで
何層にも包まれた芯は青白いまま
みずみずしいまま凍っていて
温度と節度を保ったまま
つめたさは変わっていなかった。

時間だけをエスカレーターの如く
眼の前にただ往来させては
流れ過ぎて行く人の中に
意味を見出そうとした。
術を見出そうとした。

このつめたいきもちから
距離を置くことができる
それはひとつのほうほう
あるひとつのほうほうで。