魚野真美 詩舎 夜の目撃者

詩と、その周辺について。

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜ咲くか、なぜ書くか。花々と言葉が深部で絡み合うー河津聖恵詩集 『夏の花』ー

2015年、河津聖恵さんの「パルレシア―震災以後、詩とは何か」を読んだ。 3.11以後、率直に真実を語ることー「パルレシア」ーを誰しもがみな求めていると書かれている。2011年から6年。日本という列車は「見かけ上」、通常運行に務めている。1分の遅れも許さ…

初冬、ある小さき者へ捧ぐ。

※ ※ ある小さき者へ捧ぐ。 川に身を投じ 流れついた先で、生き残った者たちへ。 川底で岩肌にしがみつき 流れゆく仲間を嘲笑った者たちへ。※ ※ 最近は蟻さえもみなくなった。 それは冬になった、という理由ではない。 もう、この表層へ出る必要がなくなった…

坂の街を歩くようなリズミカルな詩群―海東セラ詩集 『キャットウォーク』―

海東セラさんの詩を初めて読んだ時 すごく嬉しかったのを覚えている。天牛蟲への感想をいただいたとき 風景のあり方についてコメントくださって 視覚的なところとか 読むときのことばのリズムとか そういったものの感知感覚が 心地よかった。気持ちよかった…

愛と欲望を慈しむマリアの言葉―ちんすこうりな詩集 『女の子のためのセックス』―

ちんすこうさんに初めてあったとき とてもキュートで素敵な方だと思った。 第一詩集『青空オナニー』がとても鮮烈で とても素直でとてもキュートでとてもジェラシーを感じたのを覚えている。 とてもが多いけれど ちんすこうさんには『とても』という言葉が似…

読むほどに身体器官と感覚が研がれてゆく―荒木時彦詩集 『NOTE 002』―

荒木さんから詩集が届く。 いつもシンプルな詩集。以前送ってくださった NOTE001もあるのだけど しばらく読めなかった 何故だろう そしてNOTE002を読んだあと すんなりとNOTE001は読めた。 何故だろう※ ※ ※荒木さんの詩は いつも散文詩 (わたしが荒木さんに…

楽しい詩集

もやもやしたら あの詩集をひらくのだ ずば抜けて色彩センスの壊れた たのしい詩集を。 幾人の詩人がもがいてがなって作ったであろう あの詩集を。私は塊魂をつくりたい。 大阪や関西の詩人らと 塊になって日本を転がってゆくような。けどいまはそれと 正反…