魚野真美 詩舎 夜の目撃者

詩と、その周辺について。

詩集

繰り返しているようで、二度と来ない日々ー秋吉里実『悲しみの姿勢』ー

ふと読みたくなる詩集が、良質な詩集だとおもう。頭のなかに浮かびあがってた詩句があり、その言葉が載ってある秋吉里実さんの詩集『悲しみの姿勢』(草原詩社、2016)を手に取り、何度めかの再読をした。 詩集を頂いてから月日は経ったけれど何度めかの衝動を…

書評 詩と思想六月号 末広吉郎詩集『板切れ』

書く機会をいただいたので、是非こちらにもご紹介します。 詩と思想六月号の書評ををこちらに載せておきます。 書評 末広吉郎詩集『板切れ』今回恐縮ながら書評を書く機会を頂いた。詩集を読んで感じたことを言語化するのは難しい。 私が作品をことばにする…

不在という存在を書き続ける。-山岡遊個人詩誌『犯』54号-

四月の初めに、山岡遊さんから個人詩誌『犯』が届く。 関東から故郷高知へ戻られたことは、昨年4月に参加させていただいた詩の虚言朗読会にてお伺いしていました。 泉谷しげるのような豪快さで、ビシビシ他者を切るような方なのかなーと一見思えた。 初めて…

鋭さを身に纏う柔らかな発光体ー佐々木漣詩集『モンタージュ』ー

昨年秋、河津聖恵さんからぜひ手に取って見ていただきたいと紹介された詩集がありました。 それが佐々木漣さんの詩集『モンタージュ』です。このような体験はまったく初めてであったのでとても新鮮な気持ちで有難くお返事しました。※ ※ ※ ※黒の装丁に、抽象…

なぜ咲くか、なぜ書くか。花々と言葉が深部で絡み合うー河津聖恵詩集 『夏の花』ー

2015年、河津聖恵さんの「パルレシア―震災以後、詩とは何か」を読んだ。 3.11以後、率直に真実を語ることー「パルレシア」ーを誰しもがみな求めていると書かれている。2011年から6年。日本という列車は「見かけ上」、通常運行に務めている。1分の遅れも許さ…

坂の街を歩くようなリズミカルな詩群―海東セラ詩集 『キャットウォーク』―

海東セラさんの詩を初めて読んだ時 すごく嬉しかったのを覚えている。天牛蟲への感想をいただいたとき 風景のあり方についてコメントくださって 視覚的なところとか 読むときのことばのリズムとか そういったものの感知感覚が 心地よかった。気持ちよかった…

愛と欲望を慈しむマリアの言葉―ちんすこうりな詩集 『女の子のためのセックス』―

ちんすこうさんに初めてあったとき とてもキュートで素敵な方だと思った。 第一詩集『青空オナニー』がとても鮮烈で とても素直でとてもキュートでとてもジェラシーを感じたのを覚えている。 とてもが多いけれど ちんすこうさんには『とても』という言葉が似…

読むほどに身体器官と感覚が研がれてゆく―荒木時彦詩集 『NOTE 002』―

荒木さんから詩集が届く。 いつもシンプルな詩集。以前送ってくださった NOTE001もあるのだけど しばらく読めなかった 何故だろう そしてNOTE002を読んだあと すんなりとNOTE001は読めた。 何故だろう※ ※ ※荒木さんの詩は いつも散文詩 (わたしが荒木さんに…