魚野真美 詩舎 夜の目撃者

詩と、その周辺について。

2018-01-01から1年間の記事一覧

縁とは河の流れ。

2018年お世話になりました。 今年は、自分のことで精一杯な1年でした。 ほとんど更新出来ませんでしたが、 読んでいただいた皆様、ありがたや、ありがたや。 ありがとうございます。縁というのは流動的なもので 川と同じだと思っています。 ゆく河の流れは…

エリ

エリ祖母の家には猫がいた 名前をエリといった 猫を可愛いと思うのは女の子だからと思っていたし、エリはエリという名前だったから猫は全て雌猫なのだと当時年長組の私は思っていた。 もうひとつ、エリの身体にぶら下がるものがなかった。祖母はエリは「きょ…

繰り返しているようで、二度と来ない日々ー秋吉里実『悲しみの姿勢』ー

ふと読みたくなる詩集が、良質な詩集だとおもう。頭のなかに浮かびあがってた詩句があり、その言葉が載ってある秋吉里実さんの詩集『悲しみの姿勢』(草原詩社、2016)を手に取り、何度めかの再読をした。 詩集を頂いてから月日は経ったけれど何度めかの衝動を…

書評 詩と思想六月号 末広吉郎詩集『板切れ』

書く機会をいただいたので、是非こちらにもご紹介します。 詩と思想六月号の書評ををこちらに載せておきます。 書評 末広吉郎詩集『板切れ』今回恐縮ながら書評を書く機会を頂いた。詩集を読んで感じたことを言語化するのは難しい。 私が作品をことばにする…

なみのまにまに

ご無沙汰してます。 昨年から専門学校へ通い出し、今年が最終年度でありなかなか更新できずにいます。四年制大学卒業が条件の学校で、幅広い方と一緒に勉強してます。私はクラスでいうと真ん中らへん?一番下は大学卒業してすぐの人。一番上は、、人生の先輩…

電車の音。

駅から歩いて15分位のところに住んでいる。駅まで遠いなあ〜と思うのだけれど 夜になると、電車の音が窓から聴こえてくる。 結構大きく聴こえてくる。街がそれだけ静かになったんだな。 そしてその音を聴いてほっとする。ここに引っ越しする前、 家の目の前…

詩人は王国。

ちと極端なお話。日々集団の中で強制?矯正?させられてるからか プライベートでは真に大事な人や自分が必要と思うことしか付き合いたくなくなってくる。 ほんとーに大事なものが見えてくる。それは良かったのかもしれないけど、ほかは我慢的になってるかな…

永遠のエース候補といわれてー卓球男子、松平健太におもうー

世界卓球男子団体戦を見ていた。(わたくし中学時代、元卓球部でした。思えば地区優勝も果たし、スポーツに燃えた三年間でした。その後高校では和太鼓部に入部。)リオオリンピックにて、男子卓球のメダル獲得へと導き、キングオブジャパンと言われた水谷隼2…

不在という存在を書き続ける。-山岡遊個人詩誌『犯』54号-

四月の初めに、山岡遊さんから個人詩誌『犯』が届く。 関東から故郷高知へ戻られたことは、昨年4月に参加させていただいた詩の虚言朗読会にてお伺いしていました。 泉谷しげるのような豪快さで、ビシビシ他者を切るような方なのかなーと一見思えた。 初めて…

しあわせの音

聴こえてきそうですね🔔

インザスモッグ

もう少し飛び出したいなとおもってる。 でも。 私を止める誰かがいる。 私を止める私がいる。 今飛び出しても、収拾がつかなくなる。そう思っている。 やればいい、だけどこの一年だけは 難しいのかな、、と思っている 詩から離れたくないので 引き受けたこ…

春落ちてくる

『春落ちてくる』 あまりにも春が 豊潤で 呑気なので 花の咲く音が聴こえてくる中 雀の羽根のすき間 足跡のない猫の歩いたくぼみに さびしく型どられていたい空から急滑降する飛行機 速度感じるよ轟音 街灯の真下で裏返るかたつむり 耳鳴りのする春20180329

飛び出し太陽

影があるく 風がしゃべる 飛び出し太陽 車に轢かれた声が消えちゃうから 僕、手を挙げて言った 「飛び出したいんです」 飛び出し太陽 散り塵の星々 さよならお月もう行くね、 そう言って僕は 何万光年の時間を 見つめてきた いつだってペラペラになる準備は …

森の神様

森を歩いた 糺の森を歩いた 雨が降っていた 人がたくさんいたのに静かだった 橙の傘を天に差した 蝉達がぎゃんぎゃん泣き喚いた ひゅうっと冷たい風が吹いた 首の後ろの窪み雫が落ちた やがて幹や草葉に光の螺旋が降りてきた 森にちいさな神様がたくさん集ま…

あるひとつのほうほう

このつめたいきもちから 距離を置くことができる それはひとつのほうほう あるひとつのほうほうで。ずいぶん遠くまで来てる そんなふうに思ったけど 凄く近いところにいた。 遠くにはいっていなかった。 楽しい気持ちのなかに 浸っていたかっただけで 何層に…

第一回よるもく舎■合評企画 佐々木漣『漂泊の虎』

〇よるもく相互合評会とは??詩舎夜の目撃者(通称よるもく舎)内で、不定期でゲストと相互に発表しあう場を作ろうというもの。 作品を相互に批評、感想を出して発表しちゃおうと勝手に考えた企画です。自分の作品には感想を頂き、相手の作品に感想を書きま…

第一回よるもく舎■合評企画『太陽の親子』作者感想

前回の記事にて佐々木漣さんに感想を書いていただいたので、いただいた言葉にひとこと感想を書いてみようと思いました。 更に自分の作品について語ってみることで、何かおもしろいのが見えてくるかなあと試験的にやってみます。読んだらおもろない、という方…

第一回よるもく舎■合評企画 魚野真美『太陽の親子』を佐々木漣さんに感想いただきました。

〇よるもく相互合評会とは??詩舎夜の目撃者(通称よるもく舎)内で、不定期でゲストと相互に発表しあう場を作ろうというもの。 作品を相互に批評、感想を出して発表しちゃおうと勝手に考えた企画です。自分の作品には感想を頂き、相手の作品に感想を書きま…

はずむ言葉とふたり。ースピッツ『歌ウサギ』ー

詩は詩でも歌詞のはなし。 スピッツ『歌ウサギ』がよい。広瀬すず主演の映画の主題歌。なのでそれに合わせて(表向きは)ラブストーリー系にまとめている。 スピッツは2000年代以降映画『ハチミツとクローバー』や『櫻の園』など少女漫画系の主題歌抜擢が目…

一ヶ月経って。

1ヶ月ほどバタバタした日々でした。 昨日から冬季オリンピックがはじまって、オリンピックが終われば一気に春に近づくかな、と思います。■ 詩のシーンにおいて 様々な思いが蓄積しています。ただ哀しみや痛みに 身を寄せて浸りあうだけではなく それらを内包…

ねむり けむり

朝も眠るふゆの夜明け前 ちりちりと焦げる音で目が覚めるベッド脇に立てたお香は 灰のまま直立し 息絶えていた狭い部屋に充満した においとけむり 開かれることなく横たわる本 クローゼットで待つ スプリングコート 紙や服の繊維のなか ちいさくなって一緒に…

彼岸のカイト

窓辺に吊り下げていた グリーンネックレスの蔓が伸びて 長く間延びしたそれを 切り落とす。遠い冬宙に浮かぶカイトが 風にちぎれたまま 役目を終えて戻ってくる ようやく地面に還れると安堵した顔で。

辻征夫の詩

2018年になってはや1週間。 やること成すことてんこ盛りですが、一週間超特急でやってゆきたいと思います。 一つ前のエントリーで書かせてきただいた、佐々木漣さんのブログ『漣の残響』(http://sasakiren-poem.seesaa.net/)にて拙詩集『天牛蟲』の感想を…

鋭さを身に纏う柔らかな発光体ー佐々木漣詩集『モンタージュ』ー

昨年秋、河津聖恵さんからぜひ手に取って見ていただきたいと紹介された詩集がありました。 それが佐々木漣さんの詩集『モンタージュ』です。このような体験はまったく初めてであったのでとても新鮮な気持ちで有難くお返事しました。※ ※ ※ ※黒の装丁に、抽象…

新年あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願い申し上げます。 『風の見える丘』なつかしさ に心改める より あたらしい 匂い を嗅ぎたいいま キワモノ達 が視界の隅 でこちら に向かい 手を振る僕 は丘の上 に立って 天高く 吊るされた輪 に手をかける 詩集『天牛蟲』より20180101 …