魚野真美 詩舎 夜の目撃者

詩と、その周辺について。

ねむり けむり

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朝も眠るふゆの夜明け前
ちりちりと焦げる音で目が覚める

ベッド脇に立てたお香は
灰のまま直立し 息絶えていた

狭い部屋に充満した においとけむり
開かれることなく横たわる本
クローゼットで待つ スプリングコート
紙や服の繊維のなか ちいさくなって

一緒になって まざる さわぐ
霞のなか ねむり けむり 胸の雑音を聴く